2020/02/28 00:57


苔を育てる上で、実は苔の種類と容器の形の相性というのがとても大事になります。
長くなりますが、これから苔を育て始める人は必読です!

苔むすびでは大きく二つの容器(栽培スタイル)を提案しています。

・クローズドテラリウム:蓋の閉まった、密閉容器(で育てるスタイル)


・セミオープンテラリウム:容器と蓋の間に隙間のある、密閉しない容器(で育てるスタイル)



形が筒型か丸型か、というのは関係ありません。

容器にある程度通気があるかどうかで、クローズドかオープンか判断します。

蓋があるかないか、ではないです!

※オープンというと蓋のないものを言う、というか著書でそう書いてしまったので、「セミ(半)」オープンとしました

こんな小さな隙間で、そんな変わらないでしょ?と思いますよね?
ですが実は苔にとっては、はっきり言って、

全く別物です

密閉するかしないかというのは致命的に違います。育ててみればわかります。

では、何が違うのか、

クローズドテラリウムは常に湿度100%をキープします。湿度が常に100%というのは、自然界では普通ありえないんです。基本的には湿度の好きな苔ですが、これは相当極端な環境です。こういった極端な環境では、実は色々と弊害が起こってしまします。

例えば、

・ヒョロヒョロと上に伸び始める。:徒長
・茎だけ妙に伸び、枝分かれしない。大きく葉が開かない。新芽が出るが開かない。:分枝・展開抑制
・糸上の仮根がいたるところから出てくる(普通は土についているところだけに出る)。:仮根の過剰発生

写真で見てみるとわかりやすいです。
まずはテラリウムによく使われるオキナゴケの写真です。



これをテラリウムで育ててみました。


商品説明用の写真なので、いろいろ書いてありますが、左はセミオープン、右はクローズドで育てました。

左は、伸びずに密で、オキナゴケ本来の形で育っている一方、右の方はボサボサと荒い感じに伸びてしまっています。
もちろん、右の方が長く育てているわけではありません。
たった2mmの隙間の違いですが、これだけ差がでます。

そしてこちらは、シノブゴケ の写真。


これをテラリウムで育てると。。。


さらに劇的に違いがわかると思います。
繰り返しますが、同じ苔を、容器を変えて育てただけです。
右のクローズドでは、
苔がヒョロヒョロ伸びるだけでなく、
シノブゴケらしい繊細な枝分かれもなく、
ところどころから茶色い仮根が出ている
ことがわかると思います。

全く違うこと、わかっていただけましたか?
極端に違いがでる種類を選んだわけではなくて、

多くの苔はクローズドテラリウムで育てると、右のようになります。

ちょっとイメージと違いましたか?

ですが、クローズドテラリウムでも、綺麗に育ちやすい苔もあります。多少形が変わることもありますが、それはそれで美しいと言える種類を挙げると

・ヒノキゴケ
・タマゴケ
・オオシラガゴケ
・ツルチョウチンゴケ
・ムチゴケ
・ホウオウゴケ (種類による)



このあたりの苔はクローズドテラリウムでもオススメできます。
ちょっとコツが必要なこともありますが、

・コウヤノマンネングサ 
・カサゴケ
・タチゴケ



あたりも可です。でも新芽を開かせるためにちょっと工夫が必要だったり、なぜか元気がなくなってきたり、と、ちょっと気難しいところもあるようです。

先の写真では良くない例として出してしまいましたが、

・ホソバオキナゴケ



も変異の仕方としてはマシな方なのでアリといえばアリです。


さて、さんざん、クローズドテラリウムのデメリットを書いてしまいましたが、メリットもあります。というか、初めてテラリウムを「作る」のであれば、やはりクローズドがオススメです。
(「育てる」のはセミオープンも簡単です。少なくともうちの商品は。)
なぜかと言うと、

・高湿度で維持されるので、植え付けが適当でも大丈夫。

極端に言うと、植えずに土から浮いた状態でもなんとかなったりします。
「苔を土に植える」って結構難しい作業のことも多いので、このメリットは大事です。

・葉の先端が傷むようなことが少ない

乾燥ストレスがかからない環境なので、葉の傷み、は起こりにくいです。
そういう意味では、育て方の「コツ」がいらないような気がしますが、どうなんだろう。

・水やりがほとんどいらない

容器の密閉の強さにもよりますが、本当に密閉の強いものだと、1年間水いらず、、ということも。
苔むすびのクローズドテラリウム容器は、実は意図的に微妙に通気するようになっている(※)ので、
1ヶ月に1、2回程度の霧吹きを目安としています。
(※)密着しない蓋を使用。ガラス内が曇ったり、極端に徒長するのを防げます。

つまるところ、大事なのは

苔の種類選び


です。
種類さえ選べば、クローズドテラリウムはありですし、苔むすびでも初心者向けのワークショップはクローズドで作ってもらっています。

さて、一方、セミオープンテラリウムですが、
慣れればほとんどの苔はこのスタイルで育てることができます。
(店頭販売のみですが、苔むすびの大き目の作品は全てセミオープンで作っています。)

ただし、重要なのは

苔をしっかり植え付けること

基本的には、

立つタイプの苔は

・しっかり土に挿す。
・背丈を低めに植える
・なるべく背丈を揃える

這うタイプの苔は

・しっかり寝かせて土に密着させる

背の高い苔は

・十分に深い容器を使う

です。

そう、植え付けにが少々コツと慣れが必要です。
苔によっては植え付け方に「技」があります。
ですので、苔むすびの教室では、苔の植え付けからしっかり慣れてもらうようにしています。
逆に植え付け作業に慣れればなんでもできますから。。

水やりについては、一応目安は
1週間に1度程度、水差しで
としています。


クローズドテラリウムもそうですが、テラリウムの水やりというのは本当に目安です。
特に私は水やりが超適当で、店頭の苔もちょいちょい干からびています…が、
苔は基本干からびても問題ないので、その時はしっかり、水をあげればいいのです。
「干からびたら苔は死ぬ」は一部の例外的な苔をのぞいて、都市伝説ですから。
その辺のことはまた改めて。

長くなりましたが、苔の種類と容器の相性はとっても重要で、ここで間違えると、どうしたってうまく育ちません。
そしていったんクローズドで育てた苔は、オープンに戻すことは基本的にできません。

最低限のことをこちらにまとめましたが、より深い内容、細かい内容については、おいおい、書いて行きたいと思います。